僕のバイト先が近々閉店することになった。その一
〔こちらは開店前のコンビニの様子 貴重だよね〕
宮城県仙台市、市街地から車で30分ほど、いわゆる「タウン」と名がつくようなちょっとした町。駅は近く、いちおう二車線ある。市民図書館がありマクドナルドがあり、TSUTAYA、生協、ダイソーがあり、と言った住宅街。
そんな町にもやはりなんとなく経済格差のようなものはあり、そこは高くない地元民たちのためのコンビニであった。
自宅からは少し離れており、自転車で15分くらい。アルバイトを始めたのは今年の3月からであるから、そろそろ半年になろうかというところ。
忙しいコンビニではなかった。いやむしろひまである時間が多かった。シフトは二人制であるにも関わらずだ。
だからここにした、というのは大いにある。なにせ僕はせわしなく動き続けるよりは、時に「暇地獄」などと言われるバイトの方が性に合うのだ。
暇地獄などというのは解消の仕様がいくらでもあるが、居酒屋などあんなに忙しくては選択的自由というものがないではないか。
その点このコンビニはよくできていた(もちろん経営面でといった意味ではない)。
ほどほどにお客は来るので、ある程度レジに突っ立っていても「サボっているな」などとバイト仲間にケチつけられることはない。なお、そうしているのも動くのがめんどくさいからというのもあるが、レジ打ちが好きだからでもある。
人が買いたい物を選び持って来る。僕がバーコードを通し、お金をもらう。袋につめて渡し、そして店を後のする。
こういった一連の作業を正確に繰り返すことが何かしら僕の心を安心させる。(もちろん嫌なお客もいる、そこはいかに対処するかのゲームなのだ。)
そういうわけで二人でシフトに入っているとアイボウが誰であれ大抵僕の方が多くレジを打っていると思われる。少なくともメインレジは自分の居場所といった不文律ができているのではないか(職務怠慢とは言い過ぎであるぞ?君)。
他の業務は当然文律であるが、大した仕事ではない。
店であるのだから当然品物が入って来る。それを僕ら店員が正しい物かどうかを調べる。それが終われば物を売り場に出す。または裏の方に保管しておく。保管したままでは当然売れることはないので適宜出す。お店は必ずしもきれいな状態ではあり得ない。そこで整理清掃も行う。
外部請負の業務も行う(コンビニエンスたりうる所以でもある)。だがこれは多くはないし、あくまで代行業務、簡単なものだ。
基本的なエコシステムはこんなところである。あくまでバイトの立場から見た大まかなそれではあるが。
「コンビニ」という生き物のお世話、みたいなイメージが分かりやすいかもしれない。
そんな僕の働くコンビニがあと1ヶ月で閉店する。
あの真面目で厳しいオーナーの盛大なエイプリルフールでない限り、これは覆らないことだろう。
今日のシフト中に 呼び出された時は何事かと思ったが(この時少し中高の部活を思い出した。呼び出しというのは良いことも悪いこともあるので心が動くよね)、そういうことであった。
かつて、このコンビニ大丈夫か?と思うことも何度かあったが、いざとなると話は別だ。控えめに言ってたいそう驚いた。
とは言っても正直な話、僕はこういった騒動が好きだ。全く、主婦の方など大慌てであろうに、不謹慎だが。まあ勤めて半年のバイトの身、許してほしい。
他のスタッフの様子だが、
オーナーはもう仕方ないといった感じなのだろう。意外にも柔和な表情で僕に告げたのだ。その後は少し笑いながら、この半年で一番と言っていいほど和やかな会話をしたのが印象的だった。スタッフとして他の店舗を紹介できるとのことだったが、それは断った。そろそろ辞める気でいたのだ。稼ぎたいという話は採用時にしていたのでシフトを増やしてもらうことでその話は締められた。とても有り難かった。
その時一緒にシフトに入っていた主婦の方はわりかし穏やかで、そこまで慌てているようには見えなかった。無論、驚いてはいたが、少し楽しんでるようにも見える。
少し変わった人だ。何度か一緒に入り、なんとなく変な距離感ではあったが、今日のシフトで結構仲良くなった(と僕は感じた)のだ。だからこそ素に近い部分が見えて、やはり変わっているなあ(もちろん良い意味で)と思った。
一番仲の良い(と僕は思っている)26歳のフリーターくんは、僕のあとのシフトで、仕事前に話を聞いたらしいが、幾分動揺しているように見えた。彼は発注*1もしているので、経営状態に関する見解をあくまで冷静に述べていたが、その顔は引きつっているように見えた。
次のシフトのもう一人、これまた主婦の方。この方とも僕は最近急激に距離を縮めることに成功したのだが、御方も持ち前の空元気で(今回はより”空”に見えた)動揺を大いに隠されていたと思われる。
一緒に話されてたオーナーの奥さん、これに関しては包み隠さず動揺である。
この二人など女性の方は大変であろうことは想像に難くなかった。間違えなく頑張ってほしいし次も満足のいく職場を見つけられることを願っている。
しかしそれとまた別に、このちょっとした日常からの逸脱、というかこのざわついた状況を見届けたいという自分が確かにいる。
そこでこんなブログを書き、人生をお届けしようと思うに至った。(早い話自己満である。)